バルブクリアランス


バルブクリアランスとは、エンジン内にあるバルブ(給排気をする部分)の動く幅を決める作業です。
…って、自分もイマイチよく分からんのですがね…``r(^^;)

スパーダはV型2気筒エンジンで、一つのシリンダーヘッドにバルブは給排気それぞれ2つづつ、つまり前後で8つバルブがあります。
さらに、両方行うのであれば、リアバンク→フロントバンクの順番に行います。
リアはシクネスゲージがあれば出来るメンテですが、フロントは冷却水を抜く必要があるので、結構大変です。。
サービスマニュアルは欲しいですね。
初めは、調整失敗が基本だと思って、気長に頑張りましょう!


●調整時期

・アイドリングの回転数が不安定
・エンジン始動すると、『カチカチ…』と異音
(10分程度走っていると聞こえなくなる)
・回転が重い感じがする(暖まってくるとさらに重くなる)

クリアランス規定値:0.17±0.02<o>


●用意する物

・シクネスゲージ(隙間ゲージ)
・ソケットレンチ<8,10,12,14,16>
・メガネレンチ<8>
・±ドライバー
・六角レンチ<6>
・ラジオペンチ
・ジョッキ
・トレイ
・バケツ
・サービスマニュアル


●作業

リアバンク

1.シリンダーヘッドを開けよう

まずは、リアバンクからいきます!

リアのシリンダーヘッドは、簡単に出てきます!
シリンダーヘッドってのは、エンジンの頭ですね。
タンクの下にありますよね?
なので、まずはタンク外し
チャチャッとやっちゃいましょう!

で、次に、タンクの下にある黒いガソリン受け(?)を外します。
下にチューブが付いているので、ラジペンでストッパーを外して、引っこ抜きます!

そうすると、シリンダーヘッドカバーが見えますね。
これを外すわけですが、色々とコードが邪魔…( ̄  ̄;)ウーン
なので、次はコードをどかす作業です!
とりあえず、プラグコードは外して、フレームなどに引っ掛けてどかしましょう。
あと、フロントのプラグコードやらがエアクリケースの右側に引っかかっているので、どかしましょう。
まぁ、それで少しは開けたかと思います。

さて、ようやくシリンダーヘッドカバーを開けましょう!
って、ここは何ともなく簡単なのですが、一応ネジを外す基本!
対角線にネジを緩めて、一通り全体を緩めたら、それぞれ抜ける一歩手前まで緩めます。
そしたら手で外して、ケースカバーを外します!
こうすることで、ネジへの負担が減って、ネジを壊す可能性が低くなります。

で、ヘッドカバーの下に、ガスケットが付いているのですが、固着してて外しにくい場合もあります。
外しにくいとビビリますが、大丈夫なので、怖がらずに外しちゃいましょう!(`0´)ノ

そうすると、↓こんな↓シリンダーヘッド内部が見えます!
crank.jpg


2.バルブクリアランスをとろう

ようやくメインの作業へ!(* ̄0 ̄)/

まず、バルブクリアランスをする場所は
crank2.JPG
↑ここ↑です。
ちょっと見難いですが、赤丸内に丸いのが2つ見えますよね?
あれがバルブの上側です。
って言ってもよく分からんですね。。(^-^;
NGKのHPにある『スパークプラグ基礎知識>スパークプラグの働き』ってところに、分かりやす〜い動画が載っています。

↑の写真のは排気側のバルブです。
さらに左のほうに吸気側のが同じく2つあります。
両方とも行います。

で、まずは作業手順ですが、始めにバルブを圧縮上死点にします。
…って、何のことだか分からないと思いますが…(^^;
やり方は、まずバイクの右側(クラッチ側)にあるタイミングホールキャップをソケットレンチ<16>で外し、
timing.jpg
↑写真のようなクランクシャフトを出します。
これをソケットレンチ<14>で時計回りに回して、写真のように"切り欠き"に"T1"の線を合わせます。
延長用のソケットがあると回しやすいですよ。(^-^)
で、この時はギアをニュートラルに入れておきましょう。
じゃないと、タイヤが回って、バイクが動いちゃいます。。( ̄Д ̄;;

回したら、今度はクラッチペダル側にある、カムスプロケットのけがき線をケースの淵と平行になってるか見ます。
line.jpg
↑のような感じでです。
あってなければ、タイミングホールをさらに一回転すると、合うと思います。
ただし、圧縮上死点に合っていないと、スクリューを緩めていってもバルブの隙間ができません。
スクリューを緩めても、シクネスゲージが入らない場合は、まず間違っているのでしょう。
合っていないと意味ないので、ちゃんとチェックして下さいね。

そしたらようやく、バルブクリアランス開始!!( ̄0 ̄)/ オォー!!

まずは、シクネスゲージを0.20oにセットします。
規定では0.19oなので、これが入ったバルブは調整する必要があります。
balve_mainte.jpg
入れ方は、↑の写真の通り。
写真では、ロックナットを緩めちゃってますが、緩めずにバルブとアジャストスクリュー(写真のナットのついたネジ)の間に押し込みます。
結構入れにくいので、前からや横から入れやすい位置から入れましょう。
で、しっかりと入っちゃったらそれはブァツ!!
全部入らなければ、オッケー!です。(*゜▽゜)ノ

ただし、入らなかったら、一応0.15oでもチェックしましょう!
今度は下限なので、入ったらオッケー!、入らなければブァツ!!ってことです。
まぁ、まずスクリューは緩むもんですけど、締まってることもあるので気を付けて下さい(^-^;
因みに、緩んでいるとカチカチ…と音がして、締めこまれていると、点火タイミングが悪くなり、ピストンがうまく動きません。

で、チェックを終えたら、必要なものだけ調整しましょう!
やり方は、↑の写真の通り。。使いまわし…(^^;
まずメガネレンチ<8>でロックナットを緩めて、−ドライバーでアジャストスクリューも緩めます。
ロックナットは、固い場合もあるので、ソケットレンチを使ったほうがやりやすいかも…

両方緩めたら、シクネスゲージを0.17oにセットして、写真のように隙間に差し込みます。
差し込んだら、スクリューを締めていって、ゲージが抜けるギリギリの隙間でロックナットを締めます。
この時スクリューが回らないように、−ドライバーでスクリューを押さえつつ、ナットを締めていきます。
これは、考えてみれば分かりますが、ソケットじゃドライバーを使えないので、メガネが必要…と言うわけです。。

ある程度締めたらゲージを抜いて、ソケットレンチでナットをしっかりと締めて 終了!
最終チェックで、0.15oが入って0.20oが入らなければ、d(>_< )Good!!ってわけです。
それを、調整するヤツ全部にやりましょう!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!

4つ全部やったら、全工程で大体1時間かかりました。。ε- ( ̄、 ̄A) フゥー




3.取り付け

調整が終わったら、もちろん取り付けです。
まぁ、これはカバーをかけて、あとは元通りの戻すだけですが、、、
ここで注意!!(;`O´)o
シリンダーヘッドカバーのボルトは、1.0kgf・mです。
どういうことかというと、、、強く締めなくても大丈夫 なボルトです。
ですが、1.0kgf・mというのはかなり弱い力です。
で、このボルトを強く締めてしまうと、どうなるかと言うと…

こうなります…(_ _;)
…えぇ、完全にネジを切っちゃってますよ。(-_-;)
にゅるっという嫌ぁな感触と共に、ねじがクルクルクルクル回りやがります。
これをやっちゃうと、ボルトのネジ受けになっている部分も交換しなきゃならず、ちょっと厄介です。。
皆さん、トルクレンチを使いましょう。
そして、トルク値の設定を間違えないようにしましょう。



フロントバンク

4.ラジエーターを外そう

リアが終わったら、今度はフロントへ!
…っと、こっちはかなりの曲者です。。
フロントバンクを見てもらえれば分かりますが、シリンダーヘッドカバーのところに、見事にラジエーターがかぶってます…(‥;)
これを外さなければ作業が出来ないのは自明のこと。。
頑張って外しましょう!

ラジエーターは冷却水を外気で冷やすものなので、当然冷却水が中に入ってます。
なので、まずは冷却水を抜きます。

今回は交換じゃないんで、必要量抜ければいいので、左側の下にあるウォーターポンプのドレンボルトからのみ抜きます。
WP.jpg
下にトレイを敷いてレンチ<8>で緩めます。
ある程度緩めたら、ボルトを押さえながら手で回して、緩めきったら引っこ抜きます。
そうすると緑色した冷却水がチョロ…っと出てきます。
そうしたら今度は、冷却水のキャップを外します。

raz_right.jpg
↑のキャップです。。
キャップの横面に付いてる小さな+ネジがあります。

これを外して、キャップを緩めます。
緩めていくと、ゴボゴボッ!っと冷却水が抜けてきます。
結構良い勢いで出てくるので、トレイはドレンボルトの真下じゃなく、遠くまでカバーできるようにしましょう。
自分は、面倒なんで、ジョッキで受けちゃってますが…_(^^;)ゞ
あと、この冷却水は毒!なんで、目や口に入らないように十分注意してください(・_・;
同じ理由で、これは下水には流せないので、廃棄する際はバイクショップなどに処理を依頼しましょう。。お金かかりますがね…
当たり前ですけど、抜けたらボルトは締めときましょう。

で、冷却水を抜いたら、ようやくラジエーターを外せます。。o( ̄ー ̄;)ゞコレカラ...
ラジエーターは、3箇所でフレームに固定されてます。
真ん中上部と左右にあります。
 
左右部は六角レンチで簡単に外せます。
チャチャッとと外しちゃいましょ!

真ん中のは、コード類の奥にあるやつです。。
埋もれててちょっとやりにくいです。。
ソケットレンチの延長ソケット(?)みたいのを使って緩めましょう!

で、固定ボルトを外したら、左側にある電装系のコードやアース線などを外しましょう!
あと、ラジエーターファンのコードがエアクリの下にあるので、エアクリを外して、その下の台もとって外します。
fancode.jpg
初めて外した時は、これがどこにあるか分からず、大変でした…(ノ_-;)ハア…
これを外したら、そのままだとキャブのファンネル(ゴムの突起物)が露出してしまうので、エアクリは固定はせずに戻しておきましょう。

そうしたら、次はクーラントホースを外します。
まずはラジエーターキャップの所についている小さなホース(リザーバータンクと繋がってる)と、その下の太いホースを外します。

この2本ですね。
太いのは、バンドで固定してあるので、+ドライバーで緩めて、外します。
が!
非常に外しにくいです…(ーー;)
まぁ、ゴム製なんで、グリグリグリグリこじって外しましょう。

で、次に左側の↓の部分。
raz_left.jpg
これも、バンドで固定してあるので、下側のを緩めて外します。
ちょっと冷却液が出てくるので、注意してください。
手についたら、水で洗いましょうね!

そうすると、ようやくラジエーターが外せます。
razieta.jpg
初めてのときは、これを外すのに45分程かかりました。。(^▽^;)



5.バルブクリアランスをとろう

さて、ラジエーターを外すと、ようやくシリンダーヘッドが目の前に出てきます!(o ̄∀ ̄)ノ”ハジメマシテ
f_bank.jpg
これで心置きなくバルブクリアランスをとれますね!

まずは、リアと同じくクランクシャフトを操作します。
ただし!今度は"T2"マークを合わせます。

リアから続けて行う場合は、"T1"マークから450°(1回転+90°)時計回り に回して、合わせましょう!
次に、圧縮上死点にあっていることを確認したら、早速隙間チェック!
もちろんフロントもリアと同じ規定の隙間です。
作業は、フレームがちょっと邪魔でやりにくいですが、頑張りましょう!!(o^-^)尸~''☆ミ☆ミ



6.取り付け・冷却水入れ

で、終了したら、逆の手順で取り付けをします!
まずは、ラジエーターのホースを付けて、ファンのコードを付けて、電装系統を付けて、固定ボルトを付けます。。(; ̄ー ̄A  ワカリニクイ...
あ、スパークプラグコードも忘れずに!
固定ボルトは、ちょっと付けにくいかもしれませんが、ラジエーターを動かしながら、グイグイ押し込んで付けましょう!
全部付けたら、エアクリやら、タンクやらも元に戻しましょう。

元に戻したら、冷却水を戻します!
冷却水は、トレイで受けた場合はジョッキに入れて、ラジエーターキャップから入れます。
あまり勢い良く入れると溢れちゃうんで、溢れないように見ながら入れていきます。
ある程度まで入れたら、黒のゴムホースをニギニギして、ホース内の空気を抜きます。
そうすると、もうちょっと入りますね。
で、一杯まで入ったら、キャップを開けたままエンジンをかけます。
そうすると、エンジン内部に行き渡るので、水面が少し下がります。
1分程度動かしたら、エンジン止めて、また継ぎ足して、キャップを締めたら、終了!

これで、ようやく全工程終了です!!(= ̄▽ ̄=)V


●効果

『カチカチ…』という異音はどこへやら!
静か〜になり、さらにはアイドリングもピタッ!と安定します!
燃費にも少し影響するかもしれませんね。

でももし、調整したのに『カチカチ…』という音が聞こえていた場合、カムチェーンの問題かもしれません。。
こっちはよく分からないので、ご勘弁を…m(。_。;))m ペコ